年明けに我が家に、ギュスターヴ・エッフェルの著書が2冊届きました。
家族で机を囲み、そっと本を開いてみます。

ギュスターヴは晩年、事業の第一線を退いた後も、毎日精力的に風力学や航空学の研究に勤しみました。
この2冊は、まさにその時期の研究成果をまとめたものです。

届いた本はこちら↓


Nouvelles Recherches sur la Résistance de l’Air et l’Aviation  (空気抵抗と航空に関する新たな研究) -1912年発刊

数多くの図表と写真、折り図や図版が重ねられた、とても重厚な造本です。こちらは初版で、緑色の布張りの表紙に金箔で押されたタイトルパネル、さらに2冊分のダストジャケットが付いています。

本書は1912年に発表された、エッフェルの空気抵抗・航空研究の集大成です。多くの人が引退を考える年齢になっても、彼は私財を投じて当時最先端の研究機器を自ら設計・運用しました。
塔を建て終えたあとも、彼の探究は止まることがなかったのです。

Études sur l’hélice aérienne faites au laboratoire d’Auteuil   (オートゥイユ研究所における航空用プロペラの研究) -1921年発刊

こちらは文章中心の本ではなく、図版が主体となった構成です。エッフェルの最晩年の研究成果であり、彼の死の2年前に出版された作品でもあります。

さまざまな形状のプロペラを詳細に観察し、数値を取り、それらをいかに航空機の実用化に生かすかに強い関心を寄せた、非常に意欲的な図録です。


この図版集には、建築家ではなく、純粋な科学者としてのエッフェルの姿があります。

家族でページをそっとめくりながら、
「これ、どうやって測ったんだろう?」
「この時代にパソコンも使わずに、どうやって表にしたんだろう?」

子どもたちからの質問が、次々に飛び出します。専門書なので、内容をすべて理解するのは難しいですが、どれだけ情熱をもって取り組んだ研究結果なのかは子供達にも十分に伝わった気がします。
そこにあったのは、偉人を讃える時間ではなく、ひとりの人間が生涯をかけて考え続けた痕跡を、静かに共有する時間でした。

エッフェル塔は、彼の最も有名な仕事です。
けれど、この2冊を前にすると、彼の本当の関心は「高く建てること」ではなく、自然の法則を正確に理解することだったのではないかと思えてきます。

鉄の塔のあとに、空気を測る研究。
目に見える構造のあとに、目に見えない力への探究。

この2冊は、ギュスターヴ・エッフェルという人物の、静かで誠実な晩年を今も確かに伝えています。