パリ17区、マルゼルブ通りに位置するリセ・カルノは、19世紀後半、1869年に創設された歴史ある公立リセのひとつです。広大な敷地と重厚な校舎を備え、現在でも多くの学生が学ぶ教育機関でありながら、その建築自体も高い価値を持つことで知られています。

ギュスターヴ・エッフェルの工房がこの学校のホール構造を手がけており、そのホールは現在でも使われているとのことで、見学に行ってきました。

この学校の建設が進められた当時、フランスでは産業の発展とともに、鉄とガラスを用いた新しい建築技術が広がりを見せていました。そうした時代背景の中で、校舎の一部、特に中央ホールの構造を担う重要な役割を任されたのが、後にエッフェル塔で知られることになるギュスターヴの工房でした。

エッフェルは当時すでに鉄構造の分野で評価を高めており、橋梁や建築において革新的な技術を実現していました。リセ・カルノにおいてもその技術が活かされ、金属構造による大空間のホールが設計・建設されることになります。

こうして誕生したのが、現在「エッフェル・ホール」と呼ばれる空間です。

足を踏み入れるとまず目に入るのは、軽やかに組み上げられた鉄骨のフレームと、その上に広がるガラス屋根。外から差し込む自然光が、構造体の繊細なラインをやわらかく浮かび上がらせ、時間帯によってまったく異なる表情を見せてくれます。

訪れた際にも練習中でしたが、この中央の空間はバトミントン始め、スポーツの場として使用されています。

このホールは校舎内の複数の建物をつなぐ役割も担っており、日常的に多くの学生たちが行き交う場所でもあります。歴史的価値のある空間が、今もなお日常の中で生き続けているという点に、強い印象を受けました。過去の遺産が保存されるだけでなく、現在の生活と自然に共存しているのです。

今回撮影した写真を振り返ると、光の入り方や視点によって、同じ場所でもまったく異なる雰囲気が切り取られていました。鉄骨のリズム、ガラス越しの空、奥行きを感じさせる構造の重なり——どれもが、この空間の魅力を物語っています。

エッフェル塔だけでなく、エッフェルの仕事はさまざまな場所に残されていますが、このように当時とほぼ変わらない姿のまま、実際に体感できる場所は決して多くありません。リセ・カルノのエッフェル・ホールは、その意味でも非常に貴重な存在だと感じました。

リセ・カルノの元生徒、元教員、そして名誉会員であるシャバットさんが沢山の資料と共に私達を出迎え、お話してくださいました。
ギュスターヴが卒業したグランゼコール、セントラルからリセに送られたギュスターヴ像。1855年に卒業した旨が記されています。

ギュスターヴ本人が通ったプレパ(グランゼコールに通う前の準備校)はここではなかったのですが、なんと主人はこのプレパに通っていたとのこと。懐かしい学び舎訪問となりました。

本日も新しい出会いに感謝。メルシー、ギュスターヴ。